
AIの普及に伴う人員削減により、派遣切りに遭う派遣社員
「もっとスキルを身につけたい!」「業務を効率化したい!」
そんな理由で、Excel VBAやGoogle Apps Script(GAS)を勉強してきた方は少なくないと思います。私もそのひとりです。派遣社員として、VBAやGASでさまざまな業務効率化を担当してきました。
しかし、生成AIの登場で状況は大きく変わりました。
そして、ある日突然、長年働いた派遣先で、私を含む派遣社員全員の契約が終了することになりました。
いわゆる「派遣切り」です。
では、VBAやGASの勉強は無駄だったのか?
結論から言うと、無駄ではありません。ただし、これからの時代はそれだけでは足りません。
この記事では、私の体験をもとに、VBAやGASを学んだ経験をどう活かせるのか、これから何を学ぶべきなのかを書いています。同じように不安を感じている方の参考になれば嬉しいです。
私がVBAとGASで業務を効率化してきた経緯

Excel VBAを使って業務効率化に貢献する派遣社員
2015年ごろまでの私は、「普通の人よりはExcelが使える」「多少HTMLが分かる」という程度のスキルでした。そのくらいの人は、どの職場にもいます。
「他の人と差別化できるスキルを身につけたい」と思い、以前の職場でマクロを使える人が重宝されていたことを思い出して、Excel VBAの勉強を始めました。独学で、仕事から帰った後や土日に、本やネットを見ながら少しずつ覚えていきました。

その後、職場でGoogleのスプレッドシート(今のGoogle Workspace)も使われるようになったことに危機感を覚え、GASも学び始めました。演算子の書き方など、VBAとの違いに戸惑うことはありましたが、ゼロから始めたVBAよりはずっと早く身につきました。
直近の職場では、例えば次のようなツールを作ってきました。
- ローデータからレポートを自動で作るツール
- 煩雑な入稿データを自動で処理してまとめるツール
- ExcelのデータをPowerPointに自動で貼り付けて資料を作るツール
VBAの経験は約11年、GASの経験は約8年、作ったツールの数は、大きなツールから小さなツールまで数えきれません。従業員2人が毎月フルで対応していた作業を30分以内で終わらせるExcel VBAツールなども開発してきました。
ちなみに、世の中はGoogleに移っていくと思いきや、意外とExcelやPowerPointの仕事は減りませんでした。結果的に、VBAとGASの両方が分かることが強みになっていました。
業務効率化の現場で身についたこと
ツールを作る仕事は、コードを書いて終わりではありません。むしろ大変なのは、作った後のやりとりです(苦笑)。
夜22時を過ぎても「なるはやで」の問い合わせが来ることも珍しくありませんでした。
そういえば、「勉強したい」と言われて貸したVBAの本が返ってこず、後日、社内の廃棄物の連絡の写真に写っていたこともありました(笑)。
少々話が逸れましたが、振り返ると、その中で身についた力こそが、AIには置き換えにくいものだったと感じています。
「エラーです」の原因を切り分ける力
よくあったのが、「エラーが出ました」という問い合わせの原因が、実はツールではなく使い方にあるケースです。入力してあるべき関数が消されていたり、シートの形が勝手に変えられていたり。「ツールの不具合なのか、使い方の問題なのか」を切り分けるのは、業務とツールの両方を知っている人間にしかできません。
状況を聞き出して、再現する力
画面やファイルを共有してくれる方はありがたいのですが、中には「エラーです、確認お願いします」だけの丸投げもありました。そこから状況を聞き出し、同じ現象を再現するのが、デバッグの第一歩です。これは、AIに仕事を頼むときにもそのまま必要な力です。
作る前に「本当に必要なもの」を確かめる力
完成直前になって「やっぱり使わないです」と言われたこともあります。完成の連絡をしても反応がなく、こちらから聞いて初めて知ったときはさすがにこたえました(苦笑)。でもこの経験から、作り始める前に「誰が、何のために、どう使うのか」を確かめる大切さを学びました。AIがコードを書けるようになっても、「何を作るべきか」を決めるのは人間です。
生成AIで職場はどう変わったか
そんな日々の中で、大きな波が押し寄せてきました。
生成AI
です。
ClaudeやChatGPT、Geminiなどがあっという間に社内に広まり、プログラミングの経験がない人でも、AIに頼めばコードを書いたり、業務を効率化したりできるようになりました。「VBAやGASが書ける」というだけの優位性は、一気に薄れていきました。
もちろん私も生成AIを使い、既存のツールを数十倍に高速化するなど、これまで以上の成果を出していました。
例えば、100ファイルにもおよぶExcelレポートを生成して出力するのに数十分かかっていたものが、たったの3分程度で出力されるようになりました。
そして、派遣契約の終了

派遣切り
その日は突然やってきました。長年一緒に働いた同僚からではなく、派遣会社の担当者から「年内で契約終了となります」という連絡がありました。しかも対象は私だけでなく、派遣社員全員だったようです。
全員が対象ということは、私個人の問題というより(笑)、「人の仕事をAIに置き換える」という会社の判断だったのだと思います。
ちなみに私は「無期雇用派遣」という契約でしたが、派遣先との契約は3ヶ月ごとに更新され、給料も有期のころとほとんど変わりませんでした。
この働き方を選んだのは自分なので、言い訳をするつもりはありません。
ただ、長く働いた職場としては「なんだか冷たいなあ……」と感じたのも、正直なところです。
VBA・GASの勉強は無駄だったのか?
契約終了を告げられて、
「VBAやGASの勉強は無駄だったのか?」
という思いが頭をよぎりました。
たしかに、コードを書くだけなら生成AIで十分ですし、人間が書くより圧倒的に速いです。「コードを書くだけの人」が減らされるのは、ある意味では自然な流れなのかもしれません。
それでも私は、
無駄ではなかった
と考えています。
理由は、生成AIが書いたコードも、最後は人間が確かめる必要があるからです。
生成AIは、書いたコードをユーザーのスプレッドシートやExcelで実際に動かしてはくれません。
プログラミングを知らない人がAIにコードを書かせた場合、次のような壁にぶつかります。
- コードが何をしているのか分からないので、正しいか判断できない
- エラーが出たとき、どこで何が起きているかを調べられない(デバッグができない)
- 仕様が少し変わったり、想定外のデータが来たりした瞬間にお手上げになる
VBAやGASを学んだ人は、この壁を越えられます。先ほど書いた「原因を切り分ける力」「再現する力」も、そのままAIを使う仕事に活きます。
だからこそ結論は、
「VBA・GASの勉強は無駄ではない。ただし、これからの時代にはそれだけでは足りない」
です。
これからの事務職に必要なスキル
「コードを書ける」の次に必要なのは、次の4つだと考えています。
| スキル | 具体的には | VBA/GAS経験者の強み |
|---|---|---|
| AIに正しく頼む力 | やりたいこと、条件、例外を言葉にして伝える | 処理の流れを考える習慣がある |
| 結果を検証する力 | AIの答えやコードが正しいか確かめ、直す | コードを読める、デバッグできる |
| 業務にAIを組み込む力 | どの作業をAIや自動化に任せるかを設計する | 業務効率化の経験そのもの |
| 説明・提案する力 | 「AIでこう変えられる」を周りに伝え、実際に導入する | ツールを配布・サポートしてきた経験 |
つまり、
VBAやGASを学んだ人は、「AIを使いこなす側」に回るための土台をすでに持っています。
足りないのは、
生成AIの使い方を体系的に学ぶこと
と、
「AIを業務に使える人」として自分を説明できる実績
です。
生成AIスキルの身につけ方
学び方は、大きく分けて3つあります。
| 学び方 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 独学(無料の公式ガイド、書籍、動画) | 無料~数千円 | 自分で調べて進められる人。まず試したい人 |
| 生成AIスクール | 数万~数十万円(給付金の対象になる講座もある) | 短期間で体系的に学びたい人。実績や証明が欲しい人 |
| 職業訓練(ハロートレーニング) | 受講料は無料のものが多い | 仕事を探している人 |
給付金のあるスクールは?状況別のおすすめ
今の契約は続いているが、先が不安な人
働きながら学べる生成AIスクールも選択肢のひとつです。
派遣社員でも雇用保険に入っていれば、教育訓練給付金を使える場合があります。
受講料の最大80%の給付金あり「Techmeets(テックミーツ)」
は、AIも学べる「スタンダードプラン」と「エキスパートプラン」において、受講料の最大80%の給付金があるスクールです。
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受講料の最大80%の給付金あり「Techmeets(テックミーツ)」
厚生労働大臣指定の「一般教育訓練給付金制度」対象講座を多数用意する「パソコン教室アビバ」
は、厚生労働大臣指定の「一般教育訓練給付金制度」対象講座を多数用意するスクールです。
対象講座はお気軽に教室までお問合せください、とされています。

アビバでは厚生労働大臣指定の「一般教育訓練給付金制度」対象講座を多数用意
契約終了が決まった人
まずは次の仕事探しになるかと思います。
AI活用や業務改善の経験を評価してくれる求人を、転職エージェントで探しながら、並行して、無料の職業訓練も検討材料にはいります。
エンジニアとして独立を考えている人
40~60代で、副業も視野に入れたい人
40~60代で副業も視野に入れたい人は、その年代に対応した生成AIスクールも存在します。
給付金や公的な支援は使える?
給付金は、雇用保険に入っていた期間や、退職してからの期間などの条件があります。対象になるかは、申し込む前にハローワークやスクールの無料相談で必ず確認してください。
- 教育訓練給付金(厚生労働省):対象講座の受講料の一部が支給される制度。雇用保険に入っていた期間などの条件があり、退職した人は離職からの期間にも制限がある。対象になるかはハローワークで確認してください。
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省):対象は「在職中で転職を目指す人」。定年退職後の人は基本的に対象外です。
- ハロートレーニング(職業訓練):仕事を探している人は、受講料無料の職業訓練を使える場合があります。
これからVBA・GASを学ぶ人へ
「じゃあ、これからVBAやGASを学ぶ意味はないの?」と思うかもしれません。私は、AIと一緒に学ぶなら今でも十分に意味があると考えています。
コードは生成AIに書いてもらい、その代わりに「何をしているコードなのか」を読めるようになること、動かないときにデバッグできるようになることに力を注ぐのが、今の効率的な学び方です。このブログの次の記事が参考になれば嬉しいです。
まとめ
- VBA・GASの勉強は無駄ではない。AIのコードを検証し、業務に組み込む土台になる
- ただし「コードが書けるだけ」では、これからの時代は足りない
- 生成AIを体系的に学び、「AIを使いこなす側」に回ることが大切
私自身も今は、生成AIを使ってMT5のインジケーターを自作するなど、「AIを使う側」として新しいことに挑戦しています。派遣切りは悲しい出来事でしたが、学び直すきっかけにもなりました。同じような不安を抱えている方にとって、この記事が次の一歩を考えるきっかけになれば嬉しいです。



