先日、京都アニメーション制作の映画「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇」を視聴していたところ、主要キャラクターである「名瀬美月」が、ある発言をしていました。
抜粋すると、このようなものです。
待って。
なぜしばかりに行くの?
しばを売って生計を立てているの?
造園業かなにか?
ということは、この家は酪農を営んでいるという事で間違いない?
作中では名前は出てきませんが、
童話「桃太郎」
における超有名な冒頭部分に対する「名瀬美月」の反応ですが、確かにこのような疑問を覚えるのも分かる気がします(笑)
という事で今回は、
「桃太郎」におけるおじいさんは、本当は山へ何をしに行ったのか?
に関する話題です。
おじいさんは、山へ「芝」を刈りに行った?
まず、先ほどご紹介した「名瀬美月」の台詞の場合、
「酪農」つまり家畜に食べさせるものを刈りに山へ行った
「しば刈り」の「しば」は、「芝」
つまり、
おじいさんは草刈りに行った
と解釈したというもので良いかと思われます。
しかし、庭の芝を刈るならまだしも、「山の芝を刈る」という行為は、確かに酪農を営んででもいない限りはそれほど意味のない行為であるようにも思われます。
しば【芝】 の解説
1 イネ科の多年草。日当たりのよい地に密に生える。茎は強く、地面をはい、5月ごろ繊細な茎を出して紫色がかった穂をつける。庭園や土手に植えて芝生とする。芝草。2 芝生などとして植える葉の細い草。コウライシバ・ギョウギシバやブルーグラスなど。
引用:goo辞書「芝(しば) の意味」より
おじいさんは、山へ「柴」を刈りに行った?
「名瀬美月」は「芝刈り」と解釈した「しば」ですが、実は、
柴刈り
という解釈もできます。
辞書で調べてみると、
山野に自生する小さな雑木を刈り取ること
とされています。
しば‐かり【×柴刈(り)】 の解説
山野に自生する小さな雑木を刈り取ること。また、刈り取る人。
引用:goo辞書「柴刈(しばかり) の意味」より
つまり、こちらの「柴刈り」を採用した場合、
炊事用や暖房用として燃やすための、燃料としての木を調達するために、おじいさんは山へ行った
という解釈になります。
「名瀬美月」は、知ってか知らずか「芝刈り」を採用していましたが、「名瀬美月」の性格的に、知らなかったというより「わざと」という可能性も十分考えられます(笑)
いずれにせよ、おじいさんの行動としては「芝刈り」より「柴刈り」を採用した方が自然であるように思われます。
おじいさんは、山へ「柴犬」を・・・
「柴」と言われて思い浮かぶのは、
柴犬
です。
日本人と柴犬の関わりは深く、昔から本州各地で飼われ、ヤマドリ・キジなどの鳥やウサギなどの小動物の狩猟などに用いられてきたとされています。
もしかしたら、
おじいさんは猟犬としての柴犬を、山へ狩り(捕まえに)行った
可能性もあり得るかもしれません。
(食用ではないと信じたいです・・・)
また、もしかしたら、
桃太郎が旅の途中で出会った犬は、おじいさんがあらかじめ手懐けていた柴犬だった
のかもしれません(笑)
縄文犬と柴犬の歴史
縄文人と縄文犬の復元模型(国立科学博物館の展示)
日本列島においては縄文時代早期からイヌが出現し、縄文犬と呼ばれている。縄文犬は各地の貝塚から出土しており、これまでに200点以上の犬骨が出土している。縄文犬は猟犬として用いられ、丁重に埋葬された出土事例が多い。
人の埋葬に伴う出土事例もあり、特に女性の埋葬に係る呪術的な位置づけであったとする説もある。
縄文犬は縄文早期には体高45センチメートル程度の中型犬で、後に島嶼化を起こして小型化し、縄文中期・後期には体高40センチメートル程度になる。
弥生時代には大陸から別系統の弥生犬がもたらされ、縄文犬と形質が異なる。
多くは柴系であるとされ毛色は不明であるが、大部分は額段(ストップ)がごく浅く、大きな歯牙を持つ。
柴犬の熱心な愛好家には、ほっそりした筋肉質の体格や軽快で俊敏な動き、野性的な鋭い警戒性、人間との強い信頼関係とともに、このような縄文犬の特質を柴犬に求める人もいる。
昔から本州各地で飼われ、古くから、ヤマドリ・キジなどの鳥やウサギなどの小動物の狩猟、およびそれに伴う諸作業に用いられてきた犬である。
引用:ウィキペディア
おじいさんは、山へ「シヴァ」を狩りに行った?
またパロディとして、
おじいさんは山へ「破壊神(シヴァ)」を狩りに行った
という漫画もあるそうです(笑)
漫画家の一智和智(@burningblossom)さんが描いた、「おじいさんとおばあさんが半端なく強かった場合の桃太郎」がTwitterで好評です。みんなが知る昔話のように、おじいさんは山へ柴刈りに……じゃない。「破壊神(シヴァ)狩り」に行くとか本当に強すぎる。
※シヴァ:ヒンドゥー教の主神の1人。世界の創造や破壊、再生をつかさどるとされる
引用:ねとらぼ『「おじいさんは山へシヴァ狩りに」 最強の祖父母によるパロディ漫画、桃太郎が戦わずしてハッピーエンドに』より
「シヴァ」とは、ヒンドゥー教の主神の1人ですが、人気RPGである「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズの幻獣「シヴァ」が思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。
最終的に強い男の子に成長し、鬼ヶ島(おにがしま)のわるい鬼を退治した「桃太郎」ですが、もしかしたら、おじいさんとの特訓により、「桃太郎」は強い男の子に成長したのかもしれません(笑)
まとめ
今回は、
「桃太郎」におけるおじいさんは、本当は山へ何をしに行ったのか?
などに関する話題についてご紹介してきました。
まさか今になって「桃太郎」について考える事になるとは思いもしませんでしたが、今回ご紹介した候補の中では、
1位:柴刈り
2位:柴犬
3位:芝刈り
4位:シヴァ狩り
の順で、おじいさんの行動パターンとしては有力であると考えられます。
まあ真面目な話、
柴刈り
ですよね、多分(笑)